ooyamasay

詩をただ載せていきます

2022-01-01から1年間の記事一覧

さわやかな人

さわやかな人 道に落ちたドロップもぶどうも 絵になる晴れた日の午後のこと 踏切の手前でふいに君が 「ねえ、このバッグちょっと持ってて」 「うん」 ポニーテールをなおして まるで君は砂浜で波を追いかけたい子どもだった 髪が風になびくのも気持ちよさそ…

白、とは

白、とは はなさないで、きみのうでと こぼれたドロップのおと 乾いているのに ひざしがあったかくて とけてしまった ひろっても手にはもてない はなさなかったから、ずっと この時に、なぜ泣くのかなんて聞かないでよ 分からないし、分かりたくもない、 分…

気丈

気丈 何をおぼえて何を忘れたらいいの さっきまでにおっていたあなたの気配も もうとおりすぎてしまった かおり はなれていてよ さびるまでなら どこまでもいつまでもあなたをおぼえている にぶいおもみをずっと、一人でたえていくわ 後悔なんて一つじゃない…

濃緑

濃緑 どれだけ想像してもとどかない 虫食いの葉、傷んだ花びら ただ上澄みの悲しさをすくうように ゆるやかなメロディを どれほどの叫びだっただろうか 燃え広がる地、冷える芯 ただ目を閉じて手を合わせる 皮膚の下で広がる血も痛みも その間だけ忘れようと

血のかすみ

血のかすみ 虎の毛を、うわべだけなでる。 この句点で世界すべてが終わるかもしれないとき 私は、なでる あらゆる獣と、毒を冷たい水で飲み干した朝に おはようの代わりに なでる この三文字で、地は揺れるかもしれないのに いとしくなでる 気持ちよくなる …

自暴自棄

自暴自棄 六十度の血が疼いて そんな日には 愛おしそうなまなざしで 白い花弁の先から火をつけて チョコレートを割ったときと 同じような波のうねりと 溢れ出て止まらない 溶岩が指を汚す フフ フフおフ ぼフフフフ フフフれフフ フてフフフフフ つかのまだ…

青ざめた人

青ざめた人 気管に、透明なビー玉がある分だけ 沈んでしまう ビー玉がなければみんなと同じように 元気でいられたのに 胸のあたりにある小さな違和感は いつか取れるのだろうか? 前までは、涙味の飴だと思っていたけど いつまでたっても溶けないし 沈んでし…

軌跡

軌跡 「素敵な笑顔ですね。泣いたことはありますか?」 あなたと交わした一言目 「私、右目の方がちっちゃいの」 「ふうん。見た感じ、左右であまり変わらない気がするけど」 「いや、泣くとき絶対右目から先に涙出る」 「ああ、キャパの話?」 「うん」 「…

Sin

Sin 手首に伝った果汁の透明さを 穴が開くほど見つめてた じゃないと 気持ちが溢れてしまいそうだったから はじめて見る口元の色めきに 時間をゆっくりと感じた ぼくからは 言い訳以外に何も言えないのだけれど ぬすみみる君のまばたきから 心臓に鈍いしびれ…

ソーダ

ソーダ 重力を殺そう そしたら水槽の中と 同じ世界に住めるのに みんなが人魚 汗も涙も誰が誰のだか 分からないね 木みたいな海藻に絡まったあの子も あなたがそっと手を差し出せば たゆたう心とともにほどかれるわ 酸素と水と栄養を吸って 手を取って その…

恋 あなた、光にまぎれて どこかへ行っちゃいそう 空しさを海の底に一つずつ 落としてしずめてきたの? そんな目をしてるから 手をつないでも意味がない 砂みたいにこぼれそう あなたは他人にほほえむほど 傷を一縫いしていくみたい 糸でとじようと 治らない…

夜ふかし

夜ふかし 紫陽花を焦がしたのは君のせい その冷たい澄んだ煙だけが 残るようになった時期に 鋭角からみえる夜 ページのはざまから跳ねるイルカ かわいいね 彼女はホルマリンに落ちて 走る途中だったみたい かっこよかった 窓から宇宙色のかき氷 下から濃いシ…

バター

バター 表紙を開いて 一ページ、めくったら もう戻れないね きみは他人を知って とわに温かさが つきまとうことになるさ どっちにしろさみしいよ 愛しくても、憎くても どれだけいとしくても そのひとがぼくだけのものになることはないし どれだけにくくても…

えくぼ

えくぼ 持て余す微熱の温度 ただ鈍い磁力に任せて 触れるしかできない ここにはわたしときみだけ 瞳にははちみつの重み 口元には天使の手のひら きみだけのもの でもわたしたちは溶けあえない 永遠に0mmが離れてる 雑音も気管にあるビー玉から ずっとふるえ…

雨の日に

雨の日に 緑の小さなビー玉を飲みこんだ 気管の終わりで止まったあと くもりの空を見ていたら 溶けてなくなっていった レモンの酸っぱさが喉を通りすぎて横に広がる 切ない色のカーディガンを わたしが寝ている間にかけてくれた あの人はもういない 蛇口の締…

Fall

Fall すももをしぼって蜜を 夕空にかけていちめん 瞬く魔だけ焦がしたみたいに 生き生きとした色 だけど確実に冷めてきた焔 君のきれいな指先が、落陽色の実をにぎったとき 世界にすずしいさみしい蜜を垂らした 見えぬ底に広がって 誰かの鼻をかすめる夜長に…

満月

満月 君の頬をなでると そこからぽろぽろと真珠 どうしたの もう聴こえない声 冷たくなった顔のそばに もろい珠の山 閉じたまぶたとふせたまつげが ものいいたげに 月の色を問われて あわてる私を鎮める あらがえない事実を 私の心に照らしつけたあなたを 白…

灰色

灰色 白いぶどうをクシャっとつぶして それが乾いてたんだって ずっと川の音が鳴り止まない夜に 夕日が沈んだのは五百年も昔のこと それ以来わたしの心臓の裏、背中の裏には焦げた跡があります どろどろ、じゅくじゅく小さな爆発をしながら やっと沸騰が収ま…

24.7℃

24.7℃ 彼女が上あごをゆっくりと開いて 流れこんできたのは黒い煙 あまりにも濃いからつやが出ていた はじめて血ではないものを吐いた こんなに濁ったものが体内にあったのかと うれしくてほほ笑んでみたら 目からもにじみ出るように黒い煙 指をくぐらせると…

駅のホーム

駅のホーム 雨を着たい といわれてわたしは きらめいて下がる音程 すべる手、シルクのドレスが波打っておちた ハイヒール、足首 どうしたかったの? 糸で縫って白い憂 まだ止まらない雨が 道路のくぼみ流れて そこだけ骨が喰われたあとみたいに 黒くて泡が浮…

一人

一人 雨の音を聞くと染み込んでくる なぜか安心するのは 羽が濡れて重くなり落ち着くからかしら 飛ばなくていいよと言われたいから 膜を溶かすんだ 漏れる月光が 切り抜く手のひら 他人が私について知っているところなんて これだけしかないんだ むなしさが…

あいいろ

あいいろ 青い鉱石を飲んでしまったかもしれない、 とうめきつぶやく君 「水に溶かして飲んだの?」 「いや、私は青い色したお酒を飲んだの。 昨日にはそれがそのままいたのに 体の底であさく波打っていたのに 今ではもう鋭くとがった鉱石だわ。 重いし鈍い…

はじめに

はじめまして。大山星です。 これは、個人的に詩だと思って作ったものをただ載せていくブログです。 まだまだ作りはじめたばかりですが、もしよければこれから投稿する詩を見ていってください。 コメントもくださるとより嬉しいです。 どうぞよろしくお願い…