バター
表紙を開いて
一ページ、めくったら
もう戻れないね
きみは他人を知って
とわに温かさが
つきまとうことになるさ
どっちにしろさみしいよ
愛しくても、憎くても
どれだけいとしくても
そのひとがぼくだけのものになることはないし
どれだけにくくても
そのひとといっしょのつきをみてる、きっと
紙が湿る日が来て
ページの前で思い出し笑いをするような日があってもいい
一回で読んでも何回閉じてもいいよ
本を読み終わる瞬間まで
ページが一枚ずつ重力に引かれて最後の一枚が落ちるまでは
ずっとあたたかいんだから