ooyamasay

詩をただ載せていきます

昨日の歌/大山星

昨日の歌/大山星 生ぬるい雨の香りを 「過去の匂い」って言い切った君が あまりにも乱暴で 希望に満ち溢れていて おどろいた 昨日よりいくらか暖かいこんな日は 血がシャンパンみたいに騒いで 歌わずにはいられなかった (サングリアじゃないの?って 君に…

悲しみの奴隷/大山星

悲しみの奴隷/大山星 あらゆることに糸を伸ばした私の心の巣は ささいなことでふるえる あのときあなたと私が交換した、 ポイントカードだけではなくて ただの波打った空気や 決してきれいに澄んではいない視線でさえ あなたと私を結びつける どうかさっき…

恋2/大山星

恋2/大山星 この気持ちに意味はないです だれかが通りすがり、いたずらに火をつけていっただけで この熱が雪を溶かし寒さを和らげることもなければ 花を咲かせ服を乾かすこともない ただ焦げて私の体が頑張ってしまい、 生き急ぐだけ だから何の価値もない…

恋人/大山星

恋人/大山星 君の心臓に 赤い糸を縫い付けている 私のことを 忘れられないように 一緒に行ったお店 歩いた道 買ったアクセサリー おすすめした曲 腰につけてた香水 飲んだお酒 一針一針 丁寧に作りました 私の跡が消えない心臓を 別れて糸を切ったあとも 穴…

「さようなら」/大山星

「さようなら」/大山星 言った後に 私が突然いなくなれば このさようならは とても美しいものになるのに 吹きけしたろうそく 捨てられないみたい 一度は思い返される言葉になるのに ああ、私が生きているせいで ささいな一言にすぎないなんて 忘れられる日…

レモン一枚/大山星

レモン一枚/大山星 目の厚さと 顔のほくろの位置が 君と一緒だったあの子を好きになった まだあの子は私のことを知らないけれど 近づいてはいけないと思った 君に残した跡を 彼女にも負わせることはできない ましてや世間的には「少数派な」思いを 明かして…

燃える羽/大山星

燃える羽/大山星 まぶたをあげて 羽を奮い立たせるわ だれかにゆるされないわたしのいのち きらめくなみだが 美しく冷たいジュエリー 数だけ見ればとんだお金持ち 私の傷が 血が 透けてみえ さらに色とりどりの輝きへ かわいそうなあの人には まぶたをかる…

間々/大山星

間々/大山星 静けさの中で 垂れる滴さ depth 絶望の音、 光はあるはずだと 思いこまなければならないときの あるはずだと思えばたえられるって 光を見たことないわたしは思わない ぴちょん、ぴちゅん 洞窟の中あるいて 違う暗闇に向かっていただけ 音の響い…

あたま、いたい/大山星

あたま、いたい/大山星 ザラザラザリ…ガリガリガガガ… あれは 教科書で見覚えのある 誰かの尾骨 頭の上を通り過ぎてゆく 痛む頭をなでるかのように 行ってしまった たしか骨の周りは透けていて 夜の群青でした 必死の証言むなしく 「ただの夢」で片付けられ…

涙って/大山星

涙って/大山星 シャワー 愛のつぶつぶ さまざまな きらめきを あびて うるおすはその はだ? いいえ、まなこ それだけ? いえ、心も 黒い影と見まごうほどの なめらかな球体のうえを 走る無数のしずくが輝く それを持った指に滴る水 一粒一粒が集まって一滴…

お月見のうた/大山星

お月見のうた/大山星 歩きながら夜空を見上げて 無邪気に「月が綺麗だね」って 言えなかった私たちへ たぶんあれは確か 去年の今頃 少し肌寒くて 金木犀の香りをまとった空気が 鼻をくすぐる季節のある日 夜の街の明るさにも まけないくらい輝いてた 言葉に…

Innocent Girl/無垢な子

Innocent Girl My doll is fragile And she easily collapses As if a tiger bite Her skin is ripped She is free of blame Just plays house Even when stained She keeps silent So I fix her with scotch tapes And dress her with new pretty clothes S…

Baby/ねぇ

Baby Why you have so clear eyes Shine as embracing sorrow Looking into your eyes I can find a deep hole One day, pulled into your space I fell onto the bottom That was darker than shade But a bit of light streamed from above And inside I c…

すきかも、と

すきかも、と すももを にぎる すりつぶす 歯で すじが 間に残る 消化できぬ 思い しみわたる 酸味 もどかしい 言葉 さいごに貴方の声 とおのいた 響き しるをすくう 指 腕の血管 たどる 目で貴方の一挙手 スローモーション もう二度と会えぬ だから かじっ…

再開します

お久しぶりです。大山星です。 しばらく、詩を書かなくても生きていけるような生活をしてしまっていました。 ですが、最近はまた言葉にたよらざるを得なくなってきたので再開します。 またいつ途切れて、いつ歌い出すかは分かりませんがしばらくお付き合いい…

さわやかな人

さわやかな人 道に落ちたドロップもぶどうも 絵になる晴れた日の午後のこと 踏切の手前でふいに君が 「ねえ、このバッグちょっと持ってて」 「うん」 ポニーテールをなおして まるで君は砂浜で波を追いかけたい子どもだった 髪が風になびくのも気持ちよさそ…

白、とは

白、とは はなさないで、きみのうでと こぼれたドロップのおと 乾いているのに ひざしがあったかくて とけてしまった ひろっても手にはもてない はなさなかったから、ずっと この時に、なぜ泣くのかなんて聞かないでよ 分からないし、分かりたくもない、 分…

気丈

気丈 何をおぼえて何を忘れたらいいの さっきまでにおっていたあなたの気配も もうとおりすぎてしまった かおり はなれていてよ さびるまでなら どこまでもいつまでもあなたをおぼえている にぶいおもみをずっと、一人でたえていくわ 後悔なんて一つじゃない…

濃緑

濃緑 どれだけ想像してもとどかない 虫食いの葉、傷んだ花びら ただ上澄みの悲しさをすくうように ゆるやかなメロディを どれほどの叫びだっただろうか 燃え広がる地、冷える芯 ただ目を閉じて手を合わせる 皮膚の下で広がる血も痛みも その間だけ忘れようと

血のかすみ

血のかすみ 虎の毛を、うわべだけなでる。 この句点で世界すべてが終わるかもしれないとき 私は、なでる あらゆる獣と、毒を冷たい水で飲み干した朝に おはようの代わりに なでる この三文字で、地は揺れるかもしれないのに いとしくなでる 気持ちよくなる …

自暴自棄

自暴自棄 六十度の血が疼いて そんな日には 愛おしそうなまなざしで 白い花弁の先から火をつけて チョコレートを割ったときと 同じような波のうねりと 溢れ出て止まらない 溶岩が指を汚す フフ フフおフ ぼフフフフ フフフれフフ フてフフフフフ つかのまだ…

青ざめた人

青ざめた人 気管に、透明なビー玉がある分だけ 沈んでしまう ビー玉がなければみんなと同じように 元気でいられたのに 胸のあたりにある小さな違和感は いつか取れるのだろうか? 前までは、涙味の飴だと思っていたけど いつまでたっても溶けないし 沈んでし…

軌跡

軌跡 「素敵な笑顔ですね。泣いたことはありますか?」 あなたと交わした一言目 「私、右目の方がちっちゃいの」 「ふうん。見た感じ、左右であまり変わらない気がするけど」 「いや、泣くとき絶対右目から先に涙出る」 「ああ、キャパの話?」 「うん」 「…

Sin

Sin 手首に伝った果汁の透明さを 穴が開くほど見つめてた じゃないと 気持ちが溢れてしまいそうだったから はじめて見る口元の色めきに 時間をゆっくりと感じた ぼくからは 言い訳以外に何も言えないのだけれど ぬすみみる君のまばたきから 心臓に鈍いしびれ…

ソーダ

ソーダ 重力を殺そう そしたら水槽の中と 同じ世界に住めるのに みんなが人魚 汗も涙も誰が誰のだか 分からないね 木みたいな海藻に絡まったあの子も あなたがそっと手を差し出せば たゆたう心とともにほどかれるわ 酸素と水と栄養を吸って 手を取って その…

恋 あなた、光にまぎれて どこかへ行っちゃいそう 空しさを海の底に一つずつ 落としてしずめてきたの? そんな目をしてるから 手をつないでも意味がない 砂みたいにこぼれそう あなたは他人にほほえむほど 傷を一縫いしていくみたい 糸でとじようと 治らない…

夜ふかし

夜ふかし 紫陽花を焦がしたのは君のせい その冷たい澄んだ煙だけが 残るようになった時期に 鋭角からみえる夜 ページのはざまから跳ねるイルカ かわいいね 彼女はホルマリンに落ちて 走る途中だったみたい かっこよかった 窓から宇宙色のかき氷 下から濃いシ…

バター

バター 表紙を開いて 一ページ、めくったら もう戻れないね きみは他人を知って とわに温かさが つきまとうことになるさ どっちにしろさみしいよ 愛しくても、憎くても どれだけいとしくても そのひとがぼくだけのものになることはないし どれだけにくくても…

えくぼ

えくぼ 持て余す微熱の温度 ただ鈍い磁力に任せて 触れるしかできない ここにはわたしときみだけ 瞳にははちみつの重み 口元には天使の手のひら きみだけのもの でもわたしたちは溶けあえない 永遠に0mmが離れてる 雑音も気管にあるビー玉から ずっとふるえ…

雨の日に

雨の日に 緑の小さなビー玉を飲みこんだ 気管の終わりで止まったあと くもりの空を見ていたら 溶けてなくなっていった レモンの酸っぱさが喉を通りすぎて横に広がる 切ない色のカーディガンを わたしが寝ている間にかけてくれた あの人はもういない 蛇口の締…