ooyamasay

詩をただ載せていきます

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

さわやかな人

さわやかな人 道に落ちたドロップもぶどうも 絵になる晴れた日の午後のこと 踏切の手前でふいに君が 「ねえ、このバッグちょっと持ってて」 「うん」 ポニーテールをなおして まるで君は砂浜で波を追いかけたい子どもだった 髪が風になびくのも気持ちよさそ…

白、とは

白、とは はなさないで、きみのうでと こぼれたドロップのおと 乾いているのに ひざしがあったかくて とけてしまった ひろっても手にはもてない はなさなかったから、ずっと この時に、なぜ泣くのかなんて聞かないでよ 分からないし、分かりたくもない、 分…

気丈

気丈 何をおぼえて何を忘れたらいいの さっきまでにおっていたあなたの気配も もうとおりすぎてしまった かおり はなれていてよ さびるまでなら どこまでもいつまでもあなたをおぼえている にぶいおもみをずっと、一人でたえていくわ 後悔なんて一つじゃない…

濃緑

濃緑 どれだけ想像してもとどかない 虫食いの葉、傷んだ花びら ただ上澄みの悲しさをすくうように ゆるやかなメロディを どれほどの叫びだっただろうか 燃え広がる地、冷える芯 ただ目を閉じて手を合わせる 皮膚の下で広がる血も痛みも その間だけ忘れようと

血のかすみ

血のかすみ 虎の毛を、うわべだけなでる。 この句点で世界すべてが終わるかもしれないとき 私は、なでる あらゆる獣と、毒を冷たい水で飲み干した朝に おはようの代わりに なでる この三文字で、地は揺れるかもしれないのに いとしくなでる 気持ちよくなる …