ooyamasay

詩をただ載せていきます

Fall

Fall

 

すももをしぼって蜜を

夕空にかけていちめん

瞬く魔だけ焦がしたみたいに

生き生きとした色

だけど確実に冷めてきた焔

 

君のきれいな指先が、落陽色の実をにぎったとき

世界にすずしいさみしい蜜を垂らした

見えぬ底に広がって

誰かの鼻をかすめる夜長に

お願い、一度でいいから抱きしめて

 

 

※この詩は2021年度金澤詩人賞の公募に出したものです。