駅のホーム
雨を着たい
といわれてわたしは
きらめいて下がる音程
すべる手、シルクのドレスが波打っておちた
ハイヒール、足首 どうしたかったの?
糸で縫って白い憂
まだ止まらない雨が
道路のくぼみ流れて
そこだけ骨が喰われたあとみたいに
黒くて泡が浮いていた
ピンと張った弦がしなるわずかな幅に
ゆっくりと血を垂らして注いでいくと
世界のおわり 夜のとばり さえずりも
きこえなくなって遠いしゅうえん 有
君の首からおちた手がなんの煙も
まとってないなら 暗闇で
大きな目に飲みこまれてください
ささったとげがきっところしてくれるわ
※この詩は2021年度金澤詩人賞の公募に出したものです。