灰色
白いぶどうをクシャっとつぶして
それが乾いてたんだって
ずっと川の音が鳴り止まない夜に
夕日が沈んだのは五百年も昔のこと
それ以来わたしの心臓の裏、背中の裏には焦げた跡があります
どろどろ、じゅくじゅく小さな爆発をしながら
やっと沸騰が収まってきた頃です
時計からささやかれるようにして
曇りを晴れだと信じ
夜だって昼だと思ってきました
だからまだ明るいんだね
カーテンのすきまから薄い光がさしてて
どうしてわたしの部屋より薄いのか
どうしてそうと気になったのか
知らんぷりして、おやすみ
※この詩は2021年度金澤詩人賞の公募に出したものです。